パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

安全健康喫煙パイプ 開発譚   第五回 「結の弐」

安全健康喫煙パイプ(チムニーパイプ)の作者(私)は考えた。

今までにない安全でジュースの苦味を感じずにおいしい煙草の吸えるこのパイプで「実用新案をとろう」と。

ある日まだ煙草の吸えたタクシーの中でドライバーの方から「珍しいですね10年ぶりにパイプを吸われる人を乗せました」と言われていたし、自分もとんとパイプスモーカーを見かけていないし、パイプ煙草を扱う店も激減しているから、実用新案が自分に利益をもたらすものではないと鼻から思っていた。であっても、なにか具体的な考案の証を取得しよう、しかも電子出願を自力でやるぞと固く考えた。

と同時にブライヤー原木を入手し、ボール盤風の道具を自作し、パイプ部品のメッキを外注しエボナイト丸棒を購入して材料を調えた。

金メッキのパイプ部品が届いた時は金張した。いや緊張した。

実用新案登録の道は険しい。第一、電子出願をセットするまでに「電子認証」の手続きと出願ソフトのインストール、認証番号のインストール、識別番号の取得とやっかいだ。

いざひな形を参考にこのパイプの電子出願を試みてからがさあ大変。

出願ソフトはそれ自体で書式の判定をするので、ソフトのOKを頂くまでが試行錯誤の連続となった。そしてやっと送信が済んで「接受」のお知らせが特許庁より戻った。

2007年9月20日に、こうして出願が完了した、と思った。

それから待つこと待つこと。やっと届いた知らせは「手続補正指令書」だった。

ぐすん。(60歳間近だと絵文字は気恥ずかしい) なんと手続補正は三度に及んだ。

世の中に弁理士という資格が存在し、しかも極めて難関であるらしい理由が分かります。ついでに言うと、特許庁の係官や出願ソフトの管理スタッフはとても親切です。

素人が出願できる画期的なシステムというのはさぞかしご担当の皆様にはご迷惑をおかけしていることと思います。その素人の一人としてお詫びと感謝を申し上げます。

「礼!!直れ」

やっと届きました。時に2008年5月3日憲法記念日、一泊旅行から帰ってみるとポストの中に。

「実用新案登録証 登録第3141414号」登録証

「実用新案登録証 登録第3141414号」の濃いベージュ色の登録証が。

なんと、くどい自分をご存じのような番号ではないか。

しかも今の就職指導の仕事をご存じとしか思えないではないか。

「採用いーよいーよ」と読めるではないか。

*出願 平成19年9月20日 登録 平成20年4月16日 あきらめちゃだめだ。


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ご厚意で「日本パイプクラブ連盟」様のホームページに拙作パイプ販売記事を載せて頂きました。お好きな方にはおわけしたいという思いです。制作には従来品の数倍の手間と工作が必要で原材料も高価なため「販売」という手段をとらせて頂きました。
制作、販売は彫刻家で彫金家の実兄 紺矢憲秀 アトリエシバ主宰 があたります。
仕上がりの美しさはプロならでは。よろしければ連盟ホームページよりご注文ください。
何度も拙文におつきあい頂き有り難うございました。ご感想、お問い合わせは、banjo5st@din.or.jpまでお寄せください。
ただし、線維筋痛症の件にはお答えする資格がございません。あしからず。

パイプ開発者 紺矢哲雄