ひと昔前までは、映画だろうがテレビだろうが、成人男性の喫煙シーンは当たり前だったのに、最近、さっぱり見かけなくなりました。『パイプ随筆』を編集した青羽芳裕氏も「たばこを取り上げてくれるメディアがほとんどなくなって、少し悲しくなった」と発刊理由を述べていらっしゃいます。

そんな時代に朗報。私が試写会にお邪魔した『ヴィンセントが教えてくれたこと』の主人公のヴィンセント（ビル・マーレイ）は、映画の中でシガレットを吸いまくっています。考え事をする時に一服、悲しいことがあると一服、そして喜びの一服…。「エンタテインメントの中のたばこって、自分の気持ちを噛み締めるため、そして整理するために重要な役割を担っていたよなぁ」と改めて感じました。

内容はたばことお酒が大好きな不良老人と、その老人宅の隣に引っ越してきたひ弱な少年との友情物語。ハートウォーミングではあるけれど、決して文部省から推薦されるようなものではありません。そんな映画の配給に踏み切ったキノフィルムズの勇気に拍手。

スモーカーの皆様、ぜひ映画館に足をお運びください。

※9月4日（金）から、全国の映画館で順次公開予定。詳しくは、作品ホームページでご確認ください。

http://www.vincent.jp/