パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

異母兄弟?

丹波作造

「丹波さん、パイプも造るんですか?」
最近誤解が多いようなので一言する。確かに行方不明の父が南方で目撃されたという噂はあるが、バンブー佐竹とかいうハーフの異母兄弟?に顔を合わせたことは未だない。作品なるものを瞥見するに、作家というより変造者であって、ガタの来たパイプのあれやこれやを組み合わせているに過ぎない。三国境の峠に立って岩場に生える小木の枝ぶりに十年後のタンパーを構想するタンパー作家と、文字通り木に竹を接ぐだけの唐変木とを同一視してもらっては甚だ迷惑である。

何故かラックに刺さっているこのパイプにしても、自分がタンパーには太すぎると捨てた残材に某ライターメーカーのパイプを嵌め込んだだけである。ボウルが軸に貫入している点が些か新奇ではあるが、整形の手間を惜しんで平面を放置し多角形断面と称している又従兄弟の奥田権八の方がまだ幾らか作家の名に値するのではないか。

さりながらプロポーションに洗練の妙が感じられないのは全体イメージも無しに木目ばかりを追った結果と推察される。その割に気位だけは高いらしく、フェースブックでロシア人作家の多角形パイプに八角形(Octagon)はこちらの専売特許だと噛み付いて、俺のは十角形(Decagon)だと一蹴されたらしい。物を作るなら図面を引くのが常道、実作は未だであるが“ブランデーグラス”の題で自分が描いたイメージスケッチを掲げておく。

うーむ、畢竟造形の妙は自然に如かず、已んぬる哉。最後に口直しとして、新橋センタービルの地下2階で最近掘り出した竹根を用いたタンパー新作を紹介する。

 

[編集部注 掘り出した云々は、先日開催された東京パイプショー2012でのことで、新橋で現在竹根が掘り起こせる訳ではありません]