禁煙ファシズムにもの申す

禁煙ファシズムにもの申す

愛煙家鼎談 その1

司会
 (事務局):

この度は、ご多忙の中、日本パイプクラブ連盟主催の「愛煙家大いに語る」と題した鼎談会にご出席を賜りまして、まことにありがとうございます。

この鼎談会の趣旨は、昨今の行き過ぎた嫌煙運度、禁煙運動に対して筋金入りの真の愛煙家の立場から言いたいことを言わせて貰おうというものでございます。

日頃、世間の行き過ぎた風潮に不満と憤りを募らせておられる愛煙家の読者の皆様方が、溜飲を下げて貰うための鼎談会ですので、タバコを巡る諸問題について思う存分語り合って頂きたく存じます。

この鼎談会の内容は、当連盟主催のホームページに連載する予定ですが、嫌煙者の方は読むのを禁止します。(笑い)

ご出席者を紹介致します。

まず向かって右の席が、当連盟主催のホームページの常連寄稿者であられます愛煙幸兵衛先生。愛煙先生は、帝國海軍仕込みのパイプ愛好家で、パイプに親しんで70年を超えると仄聞しております。卒寿を控えてなお矍鑠とされ、世を惑わす嫌煙運動への怒りと批判の舌鋒は年々鋭くなるばかりでございます。

(愛煙氏、「お蔭様でまだ耄碌はしとらん。ピンピンしとるよ」とつぶやきながら深々と一礼)

次に、真ん中のお席が精神科医の蔵元誠之助先生。愛煙先生の大学の後輩であると同時に長年のご友人で、パイプ歴は半世紀に近いと伺っております。

(蔵元氏、パイプを燻らしながら鷹揚に一礼)

最後が、政治評論家の重村雄一先生。重村先生はパイプ歴は30年ほどで、最近はもっぱら葉巻に凝っておられると伺っております。愛煙先生のお弟子さんであると同時に飲み仲間だそうで、どうやら早くも微醺を帯びておられる気配でございます。

(重村氏「僕はその方が、舌が滑らかになるからね」と言い訳しながら、軽く一礼)

司会進行は、日本パイプクラブ連盟事務局の不肖、Q子でございます。
  宜しくお願い致します。
 それでは、まず大御所の愛煙先生から口火を切って頂けないでしょうか。

愛煙:

それでは、まず、タバコを巡る昨今の情勢から話を進めようか。ご存じの通り、我々愛煙家は、目下、櫛風沐雨の時代に遭遇しておる。嫌煙ナチズムが跳梁跋扈し、度を超えたタバコ狩りが横行しておる。

神奈川県知事の名前は忘れたが若造の三下奴が喫煙者敵視条例を制定したかと思ったら、柏市が市の公園での喫煙を禁止する下らぬ条例を作ったと聞いておる。

昨年、民主党がイカサマ公約を掲げて、それを信じた阿呆どもが民主党に投票して民主党政権が誕生し、ルーピー鳩山や缶空菅とかいう幼稚園児みたいな連中が恥ずかしげも無く宰相の座に座って、愚劣極まる政治ゴッコもどきをしておる。

ワシは怒りで夜も眠れぬほどじゃ。

だんだん国民と政治の質が劣化している風潮と、タバコを巡る風潮が重なり合う格好で如実に反映しておると愚考するが、皆さん、どうかな?

重村:

愛煙先生、のっけから大上段に構えて愚劣な世相にお怒りになると血圧が上がって、失礼ながらあの世からお迎えが早々に来てしまいますぜ。最初から剛速球を投げ込むと疲れますから、この座談会は、ゆるりとした蒟蒻問答で行きましょうや。

愛煙:

重村君! 君は、酔ぱらっておるのか!(と激しく一喝)

司会:

 

(慌てて)愛煙先生、まずは御一献。(と盃を勧めて)それでは蔵元先生、精神科の医師から見て、今のタバコ敵視の風潮をどう見ておられますか?(と、なんとか、その場を繕う。重村氏はいささか悄然の風情)

蔵元:

そういう世相の分析は単細胞の視点に陥りやすい医者よりも、社会学者や思想家あたりが適任だと思いますが、不束ながら私見を述べますと、タバコを敵視する今の風潮は、いくつもの要因が重なり合って出来たものだと思います。

まず、直接の原因は、一部の喫煙者のマナーの悪さでしょう。タバコ税収を増やせという国の意を受けたタバコ会社が売上を伸ばすために、紙巻タバコの販売に力瘤を入れた結果、有象無象の連中にまで紙巻タバコが拡がった。そうするとTPOを弁えない程度の低い喫煙者もある一定の割合でいるから、そうした連中の喫煙マナーの悪さばかりが目立つようになった。

私は愛煙家の端くれのつもりですが、嘗て至る所で目に付いた人ごみでの喫煙や吸殻のポイ捨てなど、卑賤な喫煙者連中の振る舞いを見ると、詰まらぬ人間はタバコを吸うな、下等な人間にはタバコを売るな、と言いたくなりました。

つまり、一部の上等とは言いかねる喫煙者のマナーの悪さが、一般の喫煙者、そしてタバコ全体への批判につながり、その結果、いわゆるマナーをきちんと守っている喫煙者まで被害を蒙っている。タバコと喫煙者を白眼視する風潮の中で、職場ではもちろんのこと、仕事の疲れを癒す居酒屋での至福の一服すらも著しく制約を受けるようになってしまっている。

最大の被害者は我々のようなパイプタバコの愛好家です。パイプタバコの愛好家は、中には変な人もいるかもしれないが、少なくとも私の知っている範囲では皆さん紳士淑女ばかりで、社会的に立派な肩書きの方が多い。もちろん、社会規範を遵守し、良識の範囲内でパイプを楽しむ人ばかりです。

ところが、一部の心無い紙巻タバコの喫煙者のせいで、心置きなくパイプを楽しめるのは自宅くらいになってしまった。

重村:

(話を遮って)馬鹿げたことに、バーやナイトクラブでも禁煙を求められるようになっているぜ。僕は都心のある会員制クラブで長くメンバーになっていたが、クラブの経営陣が今春からバー以外は禁煙にするというので、「ふざけんな」と怒鳴って脱退したよ。

愛煙:

そもそものタバコ白眼視の原因が、一部のバカなシガレット喫煙者の振る舞いにあったというのは蔵元君の所説の通りじゃろうが、それは10年ほど前の「嫌煙権」なる珍妙なものが取沙汰された頃の牧歌的な時代の話じゃよ。今の暴威を振るう嫌煙、禁煙運動は、10年ほど前の可愛らしい抵抗運動とは言えず、ヒトラーやスターリン、毛沢東、ポルポトに近い全体主義の臭いがプンプンするぞ。政治権力を使ってタバコと喫煙者を「社会の敵」に祭り上げ、社会の異分子として排除することを目論んでおるんじゃよ。嫌煙運動をやっている連中が邪悪な本性を現したのじゃ。

蔵元:

話の途中で重村君に遮られたので、これからが本論ですが、愛煙先生の仰る通りだと思います。愛煙先生は、いささか表現が過激だとは思いますので、その点だけは割引しますが、本質はそういうことだと思います。

直接の原因は一部のマナー違反の紙巻タバコの喫煙者ですが、タバコ批判に火を着けたのが極端なタバコ嫌いの人たち。その極端なタバコ嫌いの運動にお墨付きを与えたのが視野の狭い医者。そして世の嫌煙運動や禁煙運動を煽ったのが、定見なきマスコミという全体構図だと思います。

そしてその極端なタバコ嫌いの人たちには、ある種の狂気と言って語弊があれば、一種のピューリタニズム、原理主義が漂っていますね。彼らには、自らのピューリタニズムに対する自覚が無いから、自分たちの運動をひたすら善だと信じ込んで、どんどん極端な方向に運動を進めようとします。

極端なタバコ嫌いの人たちが目指しているのは、タバコの非合法化、即ち禁煙法でしょう。そしてタバコをヘロインやコカイン、覚醒剤など麻薬扱いにすることで、喫煙という習慣を絶滅させようと目論んでいます。

彼らにとって、喫煙者は悪魔のごとき敵、まして愛煙家は不倶戴天の存在ですから、何とか折り合って共存する対象ではなく、根絶すべき対象なのでしょうね。

それほどタバコを心底毛嫌いし、喫煙者を徹底して憎んでいるということです。

ですから、嫌煙運動の旗振りをしている方々と、我々喫煙者が建設的な会話をすることは非常に難しいです。彼らにとって喫煙者はひたすら糾弾すべき対象であって、本当なら直ちに抹殺したい対象なのだと思います。

愛煙:

蔵元君も、だんだんワシの言い方に似てきた。割り引く必要はないぞ。

蔵元:

(苦笑しながら)愛煙先生が最初に指摘なさった神奈川県や柏市の嫌煙条例は、政治家さんたちが目立ちたいからやっているのでしょう。

重村:

そうかな。神奈川のあの人相違反の知事殿は、僕も名前を失念したが、蔵元君が言う極端なタバコ嫌いの一種だと思うよ。僕の言い方では、単刀直入に「嫌煙狂」と言っているけどね。

あの男は松下政経塾出身だけが売り物で知事の座についた空っぽな奴だが、そもそも松下政経塾上がりの政治屋にロクな奴はいない感じだよな。己の分際を忘れた異常な上昇志向の裏に、何か歪んだ狂気みたいなものを抱えていて、どいつもそれが顔に滲み出て厭味なご面相をしている。(笑い)

愛煙:

志を持って政治家になろうというのに、安直に塾に行こうという根性が間違いじゃよ。洟垂れのガキじゃあるまいし。

塾でお勉強するのは、ガキがすることじゃろう。

重村:

連中の水準は、洟垂れのクソガキそのものですよ。政治家じゃなくて、薄っぺらの安っぽい政治屋ばかりです。

愛煙:

ワシに似て、君も相変わらず口が悪いな。(笑い)

確かに民主党にそういう連中が多い印象だな。松下政経塾上がりの国会議員は民主党が多いだろう?

重村:

権力志向だから、本当は、時の政権党の自民党に入りたかったけど、選挙区の事情やしがらみで入れなかった連中が民主党に拾われて運よく議員になっている。民主党はこうした自民党の補欠みたいな連中と、サヨク崩れの混合政党です。だから、アンシャンレジームへのルサンチマンという横串でくくれます。そういう腹の底に怨念を抱えた連中が権力を握ると、怖いことになる。
  (以下、民主党批判が続くが割愛)

司会:

(恐る恐る、遮って)本日はタバコがテーマですので、政治の話はまた別の機会にお願い致します……。

愛煙:

そうじゃったな。まだ耄碌はしておらんつもりじゃが、ついつい今の政治のありように腹が立って忘れてしもうた。

話を元に戻しましょうかな。蔵元君に、嫌煙狂の連中を粗く素描してもらったわけじゃが、重村君、君は元ジャーナリストだから、マスコミの煽動について解説してくれんかな。

重村:

承知しました。

次回に続く

司会者Q子より一言:
  冒頭から愛煙先生の癇癪球が破裂して、せっかく準備しましたこの鼎談会も始まると同時にあわや空中分解かと危惧しましたが、いつも沈着冷静な蔵元先生がうまく座を取り繕って下さって、何とか軌道に乗りそうな気配です。蔵元先生に感謝。次回は、重村先生が奇怪なマスコミ報道を槍玉に挙げて丁々発止のやり取りがあります。お楽しみに。

2010/08/12