禁煙ファシズムにもの申す

禁煙ファシズムにもの申す

喫煙者の配偶者の肺腺癌罹病率は2倍?

NHKが厚労省の発表として「喫煙者の配偶者は非喫煙のそれに比べて、肺腺癌の罹病率が2倍である。」とするニュースを流していた。これまた、実に非科学的な調査結果と云わざるを得ない。重要な調査パラメーターが欠落しているのである。 第一に、喫煙者が配偶者と一緒に過ごす時間が欠落しているのである。小規模自営業の場合以外は、休日のほかは最大で4・5時間程度、大多数はせいぜい2・3時間程度であろう。

第二に、喫煙に関わるとされる腺癌が肺癌全体の30%程度とする報告があるが、腺癌のみを取り上げることで、喫煙と腺癌を関係を増幅させようとする意図が見えるのである。 以前取り上げたある科学雑誌の報告、街道筋に面した居住者と街道から引っ込んだ居住者の肺癌罹病調査も似たような誤りを犯している。単に街道筋の居住者とするだけで、住居の気密性や調査対象者が昼間は気密性の高いビルで働く場合などの条件を明示していないのである。

この様な極めて重要な要件を除外した調査報告は、小学生の夏休みの自由研究のレベルと云ってよかろう。厚労省が早急になすべきことは、ボリュームでタバコの煙の数千倍にもおよぶ自動車の排気ガスの影響を明確にすべきことである。産業界・経済界を敵に回すことを恐れ、無力な喫煙者個人を叩くやり方は、役人の典型的やり口と云えよう。昨今風あたりの強い厚労省が、マスコミ受けのする情報を流すことで矛先を逃れようとするのは、実に姑息である。

先進工業国中で最も喫煙率が高いわが国の肺癌罹病率は最も低いことは、既に前稿に書いた。喫煙者の調査では喫煙と肺癌の因果関係が明らかにされなかったにも拘わらず、受動喫煙が2倍の罹病率とするなら、やはり「肺癌に罹りたくなければ、タバコを喫おう。」ということになる。喫煙者本人ではなく、受動喫煙者が被害を被るというのなら、そのメカニズムを明らかにするべきであろう。

大分前の話であるが、厚生省に電話を入れた際、「君たちは“公僕”と云う言葉を知っているか?」と聞いて見た。答えは「存じません。」あるいは「聞いた事はあります。」程度であった。基本的に国民の為に働くという意識を持たぬか、教えられていないのである。したがって、もっぱら自己保身に終止するのである。

厚生省・厚労省の杜撰さはこれまでに数々指摘されているが、相も変わらずこの様な杜撰かつ非科学的な報告を流すとは情けない話である。それにも増して、無批判にこれに飛びつくマスメディアは何とかならないものか。

国際パイプ・アカデミー評議員
鈴木 達也
2007/12/14