禁煙ファシズムにもの申す

禁煙ファシズムにもの申す

金小日さんとアドルフ・ヒトラー

英国の経済雑誌「エコノミスト」2007年2月3日号を斜め読みしていたら、北朝鮮の金正日総書記が、パソコンを使えない人をヘビースモーカー、歌が下手な人とともに「21世紀の3大バカ」と表現した、というコラムを載せている。

同誌によると、北朝鮮は2000年に国内用の光ファイバーケーブル網「光明」を構築し、全国的なイントラネット網を整備した。しかし、北朝鮮指導部は、一般人民が世界の情勢を知ることを恐れ、朝鮮コンピューターセンター(KCC)が設けたファイアーウォールによって外部の世界と完全に遮断しているという。
インターネットにアクセスして世界の情報を知ることが出来るのは朝鮮労働党と軍の選ばれた一握りのエリート層だけ。それ以外の人々は外部の世界には一切接続できないのだそうだ。

そうした状況をご自分で作りながら、パソコンを使えない人を「バカ」呼ばわりとは、まことに身勝手極まる言動だが、これも神格化された独裁者だからできる発言なのだろう。そこで気になったのが、「ヘビースモーカー」を「バカ」と貶す箇所。おそらく、将軍様は相当な煙草嫌いなのでしょう。

煙草嫌いの独裁者ということで連想したのがドイツ第三帝国の総統アドルフ・ヒトラー。ヒトラーは、病的な煙草嫌いで、自分がいる部屋の中で、煙草が吸われることを絶対許さなかったという。長い長い作戦指導会議でも、居並ぶ将軍連はちょっと休憩と一服できず、いらだちが募ったとか。煙草を吸わない軍人を重用したという話もある。秘書として長年仕えた女性の回顧録を読むと、第二次世界大戦末期、ベルリンの地下深くに構えた総統防空壕にこもるヒトラーの側近たちは、息抜きのためにしばしば地上に出て一服したという。

巷間言われるように、ヒトラーは怪物のような精神異常者では決して無かった。そもそも精神に変調を来している男が普通選挙を通じて政権を握れるはずがないだろう。長年側に仕えた女性秘書の証言では、ヒトラーは親しみがあってユーモアがある、ご婦人にやさしい「アドルフおじさま」だったとか。ただ、極端な菜食主義と煙草嫌いを貫いたところをみると、偏執狂というか精神のある一箇所に異常な歪み、病的なこだわりがあったのは間違いなかろう。

アドルフ・ヒトラーは既に歴史上の人物だが、金小日将軍様は現在進行形のお方である。現在、煙草が大好きな北朝鮮のエリート連中は、煙草嫌いの金小日の前で我慢しているわけだ。

自分が個人的に嫌いな習性を、偏執狂的に他人にも押しつける困った性質の方々は、どこの国にもいる。喫煙者を目の敵にする禁煙ナチズムの面々が、政権を掌握したら、怖い世の中になるだろうね。

多言居士
2007/02