大会記

大会参加記

第11回世界選手権大会参加報告

4年に1回開催される世界大会が今年開催されました。過去第3回と第7回が東京で開催され、日本選手は3、7回に個人、レディースともに、それに第5回の個人、第7回には団体の優勝と立派な記録を過去には残しいますが、今回は果たしてどうであったか簡単に報告します。

第11回世界パイプスモーキング選手権大会は、2006年10月15日(日)にチェコ共和国第2のリゾート都市マリアーンスケ・ラズーニェで開催されました。競技参加者は351名(失格2名)、日本人参加者は7クラブから21名。優勝者はハンガリーのTivadar Trubacs(T.トルバク)氏で3時間03分24秒。準優勝はオランダのGeorge Stam(G.スタム)氏、3時間00分10秒。15位の人でも2時間を越え、100分超えが39人も出るとの極めてハイレベルの戦いでした。

日本人の最高は関西パイプクラブぷかりこ会長の吉本正實氏でした。1時間31分21秒で第48位。

レディースの第1位はチェコのAnna Rothlisberger(A.ロスリスバーガー)さん、1時間51分59秒(通算第21位)。日本のレディース1位は46分27秒で山形霞城クラブの青木篤子さん(通算199位)でした。

団体の優勝はイタリヤ、7時間24分01秒、第2位はハンガリー6時間39分32秒。イタリアは過去11回の大会で6回勝ち、現在4連覇中です。日本は参加16ヵ国中第12位、3時間24分29秒でした。

今回は日本人と上位入賞の各国メンバーとの間に圧倒的に差がついてしまい、個人も団体も倍以上のタイム差ができ、はるばる遠征した疲れが出たのか、それともタバコに慣れ、不慣れの差がでたのか、日本チームの成績は、残念ながら総じてあまりよくありませんでした。大会そのものは記録的にも素晴しいコンテストでした。

上位者を見ていると吸い方も違うようで、上位の人は吹いたり喫ったりするのではなく、パイプを余り銜えずにボウルの火を見ていて、消えそうになるとし喫う、またタンパーを巧みに使って灰を取り除き(日本では余り見ない状況ですが、ほぐし紙の上が灰だらけ、人によっては手の指が真っ黒)、火をうまくコントロールしているようです。

使用たばこはこの10月から日本でも発売されたStanwell のFull Aromaでした。本格的なヨーロッパタイプのタバコで、日本の発売元のフカシロの宣伝文句によれば、「真のパイプスモーカーが求めるブレンドを目標に、よく熟成されたバージニア葉とバーレー葉をベースにバニラ、チョコレート、果実の花びらを適度に加えたもの」とのことです。よい記録をだした欧州勢にとっては手馴れたタバコだったのかもしれません。

パイプはチェコのパイプメーカーのJan Pipe 社製で、灰こぼれを防ぐキャップがついている優れものでした。ビリアード型ですが、ややトップがふくらんでいるダブリンに近い優美なものです。

大会会場とほぼ同程度の広さの隣室で展示販売のブースが並び、一角に登録・受け付けの場所がありました。ブースはデンマーク、イタリーなどや地元チェコやアメリカからも出展されており、パイプメーカー、多くの個人作家などが参加し、パイプ、たばこやタンパー、ライターの関連グッヅの展示即売がありました。日本からもパイプ作家の後藤景一さんが参加していました。展示にはにぎやかに多くの人が集まっており、展示販売のショウの方は前回より盛んでした。大会スポンサーのOrlik社が窓際中央に陣取り、Stanwellブランドのタバコを中心に展示していました。タバコの葉や半製品も展示され、100%バージニア、バーレー、オリエント、ラタキアなどの特製シガレット(販売用ではない)を並べて喫わしてくれました。競技用パイプのチェコのJan Pipeのブースも結構人だかりしていました。マシンメードが主体ですからデンマークタイプというよりイタリア風でした。

大会が開際されたマリアーンスケ・ラズーニェはチェコの西部にあり、主都プラハから車で3時間くらいのところにある保養地で、チェコでは2番目の温泉町です。温泉と言っても日本のように入って浸かるのではなく、飲む温泉です。大変美しい街で、クラッシックな立派な建物が公園を囲んで立ち並び、まさに絵葉書的な美しい街です。ここは欧州では有名な保養地だそうで、かっては王侯貴族や政治家や、音楽家、小説家など多くの芸術家が逗留したことで著名な街です。ゲーテもよく訪れてここを愛したようです。ゲーテの小説の中にこの街が出てくるそうで、公園にゲーテの銅像がありました。

コンテストは美しい公園に面した旧カジノの大広間を会場として開かれました。これまたクラッシックな立派な建物で、コンテストとギャラディナーの開催されたホールは大理石の柱が立ち並び、壁も大理石張りの立派なものです。かっては王侯貴族や芸術家が集い、華やかな場所だったのでしょう。

保養地ですからか出会う人は老人が多く、その人たちが特製のコップ(コップに握り兼用のストローみたいな長いのみ口がついている)を手にして、時々飲みながらゆっくりと歩いています。日本の保養地とはかなり違う様子です。源泉が数箇所にあり、一部は湧き出ているところが見えるようになっていますが、飲むための設備は整っていて、水道の蛇口をひねると源泉が出てきます。源泉にはいろいろと名前がついていました。飲んでみましたが、余りおいしいものではなく、薬と思って飲まなければ毎日飲めるようなしろものではありません。日本の温泉のように薄味ではなく、飲みすぎに注意との事でした。ゆったりと時間が過ぎてゆくのを楽しむきれいな舞台です。今年は寒くなるのが2週間ほど遅れているとのこと、丁度紅葉が始まったところで、緑、赤、黄、茶色の葉っぱが入り混じって大変きれいでした。午前中は霧が立ちこめ、あまりよく見えませんが、午後になると晴れて日がさし、まさに絵画的風景になります。

大会の進行は、日本のように何でもきちんとは行かず、晩餐会、コンテストともに自由席、時間もかなり遅れ気味という状況でした。リゾートタウンの街でゆったりとしているせいもありますが、余裕のある会合などはこんなものなのでしょう。大会にはこんな雰囲気をゆったりと楽しんだり、お祭り気分の人も沢山いましたが、一方で参加者の中にはコンテストへの執念と言うものが感じられる人が多数いました。時間に挑戦している人たちの集中力はすごいものです。

世界大会にはPCJ主催でツアーを組み、16名が参加しましたが、コンテストの前後にウイーン、プラハ、ブラチスラバ(スロバキア)、ブダペストを回りウイーン(事前見物した)経由で帰国しました。コンテストは今一つでしたが、観光のほうは天気に恵まれ、中世ヨーロッパの風景を楽しみ素晴しいものになりました。次の開催地はポルトガルに決まりました。2010年に開催されます。

CIPC http://194.255.91.101/
Poland 会長 http://e-tommy.info/fajka/Album8.htm
PCJ http://www.pipeclub-jpn.org/
梶浦恭生記